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第4話 すぐの方がいいかもね

last update Terakhir Diperbarui: 2025-05-24 12:05:29

「ロイドと同じ歳の子なら、確か名前はアスティ嬢だったはずだ」

「そうそう!! アスティ嬢だ!!」

 父さんが思い出す前にフレックが答えを出してくれた。

「どんな子?」

 今度は父さんではなく、直接フレックに聞いてみる。ちょっと父さんがいじけたような顔をしたけど気にしない。

「アスティ嬢は……。その前にロイド」

「なに?」

「アルスター家ってどういう家柄か知っているか?」

「ううん知らない」 

 僕は左右に頭を振りながら答える。

 はぁ~っと大きなため息が二人から聞こえてくる。

「アルスター家は、アイザック家とは少し時期は違うが古くから有る名門だ。そしてアルスター家は代々にして優秀な魔術師を出している家でもある」

「魔術師?」

「さすがに魔術師は分かるだろ?」

「さすがに知ってるよ」

 僕があまり優秀じゃないにしても、その位は知っている。だからちょっとだけフレックの言った事にムッとした。

「すまん。しかしそこが大事でな。アルスター家も代々優秀な魔術師を出している事で、それ以上の力を持つことを危険視されて、爵位はずっと据え置かれている。どれだけ戦争などで活躍しても爵位はそのまま。領地は多少変えられて来たらしいが、今の場所へと移ってからは既に数百年経ってるはずだ」

「へぇ~」

「へぇ~って……」

 フレックがあきれたような顔をして僕の方を見つめる。

「フレック、ロイドはそういう事にあまり興味がないみたいなんだ」

「ロイドらしいと言えばいいのか、なんといえばいいのか……」

「でもさ、優秀な家の子だってことはわかるけど、どうして僕なんだろ?」

「「え?」」

 二人共に、僕の言葉に驚く。

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  • 無自覚に無茶しながらのスローライフ ~え? 付いていきますよ?~   第4話 すぐの方がいいかもね

    「ロイドと同じ歳の子なら、確か名前はアスティ嬢だったはずだ」「そうそう!! アスティ嬢だ!!」 父さんが思い出す前にフレックが答えを出してくれた。「どんな子?」 今度は父さんではなく、直接フレックに聞いてみる。ちょっと父さんがいじけたような顔をしたけど気にしない。「アスティ嬢は……。その前にロイド」「なに?」「アルスター家ってどういう家柄か知っているか?」「ううん知らない」  僕は左右に頭を振りながら答える。 はぁ~っと大きなため息が二人から聞こえてくる。「アルスター家は、アイザック家とは少し時期は違うが古くから有る名門だ。そしてアルスター家は代々にして優秀な魔術師を出している家でもある」「魔術師?」「さすがに魔術師は分かるだろ?」「さすがに知ってるよ」 僕があまり優秀じゃないにしても、その位は知っている。だからちょっとだけフレックの言った事にムッとした。「すまん。しかしそこが大事でな。アルスター家も代々優秀な魔術師を出している事で、それ以上の力を持つことを危険視されて、爵位はずっと据え置かれている。どれだけ戦争などで活躍しても爵位はそのまま。領地は多少変えられて来たらしいが、今の場所へと移ってからは既に数百年経ってるはずだ」「へぇ~」「へぇ~って……」 フレックがあきれたような顔をして僕の方を見つめる。「フレック、ロイドはそういう事にあまり興味がないみたいなんだ」「ロイドらしいと言えばいいのか、なんといえばいいのか……」「でもさ、優秀な家の子だってことはわかるけど、どうして僕なんだろ?」「「え?」」 二人共に、僕の言葉に驚く。

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